心理学の知見から防災力を高める(5月19日)
講演する菊池教授
市は、赤穂公民館で防災力パワーアップ講座を開き、85人が聴講しました。これは、災害を乗り越える力をつけ、地域づくりにつなげるための企画です。今回は、信州大学人文学部教授で同大学地域防災減災センター長の菊池聡さんを講師に招き「防災減災のための心の科学~リスク社会をいかに生きるか~」をテーマに講演していただきました。
菊池教授は認知心理学を専攻し、災害などの緊急時に起こる危険な思い込みをどのように抑制するかを研究しています。講演の冒頭で、アンケート調査の結果から多くの人が「自分は大丈夫」と思い込み、災害への備えを行っていないことを紹介。これは危険な状況を正常の範囲内と捉えてしまう「正常性バイアス」という、誰もが持つ認知のひずみによるものと解説しました。
また菊池教授は、具体的な災害への備えの一つとして、災害の状況とその時に取るべき行動をパッケージ化することを挙げました。「いつ」「だれが」「何をするか」を時系列で記載する「マイタイムライン」を作成し訓練することで、認知のひずみが入る余地が少なくなると説明。身近な具体例を交えた分かりやすい解説に、参加者はしきりにうなずくなどして聞き入っていました。
菊池教授は「集中豪雨など、災害は確実に増えてきている。今日の話が、少しでも皆さんの防災行動の助けになれば」と会を締めくくりました。
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更新日:2023年05月23日