市長施政方針

令和3年度施政方針(令和3年2月22日)

私たちは、『ともに創ろう 笑顔あふれるまち 駒ヶ根』を合言葉にまちづくりを進めます。

「愛と誇りと活力に満ちた駒ヶ根市」をめざして

令和3年度施政方針を話す伊藤市長

施政方針は次のリンク先から動画で見ることができます(令和3年3月市議会定例会のものです)。

 

はじめに

本日、令和3年第1回市議会定例会の開会にあたり、令和3年度当初予算案をはじめ、市政の重要な議案の提案説明に先立ちまして、市政運営に対する私の所信の一端を申し上げます。

昨年1月の市長選挙で、多くの方々の力強いご支援・ご協力を賜り、駒ヶ根市長の重責を担わせていただくことになりました。みなさまの期待に応えるべく、この1年間、全力で市政に取り組んで参りました。

就任後、間もなく、100年に1度といわれる、世界規模での新型コロナウイルス感染症の流行に直面しました。まずは、市民のみなさまの安心・安全を守ることを最優先に考え、対策を続けてきました。会議や行事の縮小や中止、小中学校の一時休校、事業活動の制限、往来の自粛、公共施設の利用制限などをお願いし、さまざまな場面で、ご不便をおかけしました。知人や親せきの方たちとの会合や会食、ご旅行やお子さんやお孫さんの帰省を控えられたこともあったと思います。

こうしたみなさまのご協力によって、駒ヶ根市では、感染された方が集中するクラスターが発生することなく、現在は落ち着いた状況にあります。感染防止にご協力をいただいていることに、感謝を申し上げます。また、この間に、さまざまな個人やグループ、団体、企業から、ご寄付をいただきました。深くお礼を申し上げます。互いに支え合う、コミュニティーの力は、駒ヶ根市の宝だとあらためて感じています。

ただ残念ながら、感染症の流行収束の明確な見通しはなお、立っておりません。これからも、ご不便やご負担をおかけすることになりますが、互いの安心・安全を守るために、支え合って、この危機を乗り切って参りましょう。

ワクチン接種が医療従事者から始まりました。新型コロナウィルス対策は新たなステージに入ることになります。今月、駒ヶ根市はワクチン接種対策室を設けました。専任の担当者を置いて、医療機関のご協力をいただきながら、準備を進めております。前例のない大規模なワクチン接種となりますので、さまざまな課題が想定されます。市としては今年最大の事業の一つであると考え、国の対応を踏まえて、混乱なく、市民のみなさまへの接種が進むように取り組んでまいります。詳しい内容が固まりましたら、ご案内をいたしますので、どうぞ、ご協力をお願いします。

ワクチン接種の準備を進めるため、今月1日付で、当面の費用を盛り込んだ補正予算を専決処分し、この議会でご承認をお願いしております。さらに、新年度以降、本格化するワクチン接種に対応するため、補正予算案の編成を進めております。まとまり次第、今議会に提出し、ご審議をいただきたいと考えております。

また、そのほかの新型コロナウィルス対策につきましても、国の令和2年度の第3次補正予算を活用するなどして引き続き取り組みたいと考えております。ただ、新年度予算案の編成時点では、国の3次補正予算や県の動向が明らかになっておりませんでしたので、今回提案します新年度予算案には、こうした対策は含まれておりません。今後、感染の拡大などの情勢を踏まえ、適切な時期に必要な対策を講じていきたいと考えておりますので、ご理解ください。

さて、世界史を振り返りますと、これまで発生した感染症の大規模な流行、パンデミックは人々の価値観を一変させてきました。14世紀にヨーロッパの人口の3分の1が亡くなったといわれるペストが収束した後、ルネッサンスが起こりました。100年前、日本も含めて世界各地で大流行したスペイン風邪が収束した後は、復興の動きが広がり、1920年代の世界的な好景気につながっていきました。

今回の新型コロナウィルスを克服した世界は、どう変わるのでしょうか。新たな時代の手がかりを世界中の人々が求めています。危機は課題を明らかにするといいます。日本を考えてみますと、まだ先の課題だと思われていたデジタル化や、二酸化炭素削減などの環境対策は待ったなしの対応を迫られることが分かってきました。人々の暮らしでは、都市への集中や長時間労働のリスク、個人の事情に応じた働き方の大切さ、性別や国籍の違い、障がいの有無による差別の愚かさ、学びや集いの重要さなどが、あらためて明らかになりました。こうした変化を受け止め、構築していく新たな価値観が、コロナ後の世界を形づくっていくのだと考えます。

変化の芽は現れています。総務省の昨年の人口移動報告によりますと、東京の転入から転出を差し引いた人数は約3万人となり、前年から60%余り減少しました。7月から12月までに限りますと、転出者が転入者を上回っています。「地方創生」を掲げた安倍政権で解消できなかった首都圏への一極集中が、コロナ禍によって変わりつつあります。昨年、長野県は約1700人の転出超過でしたが、4月から12月までは転入超過になっています。駒ヶ根市は114人の転出超過でしたが、やはり4月から12月まででみると、転出超過は5人にとどまっています。リモートワークの普及などが後押しとなり、より良い環境を求めて東京から地方へという人の流れが始まりつつあると考えます。

こうした変化を踏まえ、これからの駒ヶ根市のまちづくりは、新たな価値観のもとで進めていく必要があります。私は就任以来、多様性を尊重し、多くの人がさまざまな活動や取り組みができる「広場のようなまち」を目指すと申し上げてきました。まさに、コロナ後は、そうしたまちが求められていると考えます。そこで、「第5次総合計画」を前倒しして策定することにしました。新年度中に策定作業を進め、令和4年度からは新たな総合計画の下で、まちづくりを進めてまいります。

令和3年度当初予算(案)の概要

それでは、令和3年度の当初予算案につきまして、概要を申し上げます。

一般会計予算の総額は、147億3,000万円で、前年度当初予算と比べて、11億2,900万円、8.3%増加しました。特別会計・企業会計は、107億266万8千円で、3億4,023万3千円、3.3%の増となりました。この結果、令和3年度の予算総額は、254億3,266万8千円、前年度当初予算と比べて14億6,923万3千円、6.1%の増加となりました。

今回の予算案の編成にあたりましては、総合計画の改定も見据えまして、3つの重点プロジェクトを柱としました。一つ目は、持続可能性のあるまちとするために少子化対策の強力な推進と、それを支える健康資源の充実です。二つ目は多様性の時代にふさわしい生涯活躍のまちづくりと、それを柱にした中心市街地活性化です。三つ目は技術の進展をにらんだ行政などのデジタル化と高原観光のグレードアップであります。まず、この3つの重点プロジェクトについて説明を申し上げます。

令和3年度の主要施策

1 重点プロジェクト

1.少子化対策×健康資源の充実

まず、一つ目の少子化対策と健康資源の充実です。

新型コロナウィルスの感染が拡大する中、全国的に少子化の進行に拍車がかかろうとしています。昨年の駒ヶ根市の出生数は200人にとどまりました。感染症の収束が見えないことから、今年も不透明な情勢です。こうした危機的な状況を打開するため、駒ヶ根市は4月1日、「子育て全力応援」を宣言し、令和3年度から3年間を全力応援期間とします。部局を横断するプロジェクトチームを設け、市内外の子育てグループなど、さまざまな方たちとネットワークをつくり、必要とされる施策をたて、その効果を検証していきます。市内外に関心のある方たちに、駒ヶ根市の本気度を知っていただけるよう、専門家の力も借りて、効果的な情報発信にも取り組んでいきます。

このパイロット事業として、必要とされる施策を探るため、昨年秋から冬にかけ、子育てに携わる世帯やグループなどを対象にアンケートを行いました。この結果から、出産や子育てにともなう経済面での不安を抱えている方が多いことが分かりました。そこで、新年度予算では、全ての新生児のみなさんに、5万円分の商品券をお渡しする「赤ちゃん育児ライフ応援事業」を創設します。あわせて出産や子育ての時期に必要な経済知識を学んでいただくための「パパママ・ライフプラン教室」を、新たに実施することにしました。

さらに、成長し進学や就職という人生の大きな岐路に立つ高校生に、ふるさとへの関心を高めてもらい、いったん駒ヶ根市を離れても、やがては生まれ故郷に戻ろうと考えるきっかけをつくってもらう「ウミガメプロジェクト」を始めます。先週2月18日、市内の2つの高校と協定を結びました。駒ヶ根の文化や産業などを学び、高齢化など地域の課題も知ってもらう取り組みを始めることにしています。この事業は、人材育成や文化・教育の拠点として重要である高校の魅力を地域を挙げて高め、しっかりと守り育てていくことも目指しています。

Uターン就職や高校生の地元企業への就職支援を進めるために、駒ヶ根雇用対策協議会を中心に、上伊那の企業や上伊那広域連合など関係する機関と連携して取り組みます。高大連携や産学官連携、テクノネット駒ヶ根等による人材育成や研修への取り組みも進めてまいります。若者の定着を促進するため、「地域定着奨学生支援制度」の周知を図り、駒ヶ根市に居住し、奨学金を返還しながら上伊那地域で働く若者の財政支援を行ってまいります。

こうした施策を展開することで、子育てから進学、就職までを駒ヶ根市が全力で応援する体制を整えていきたいと考えております。

また、暮らしの面でも全力で応援をしていきます。これまで行ってきた「若者住宅取得補助事業」の対象を子育て世代にも拡大し「子育て&移住・マイホーム支援事業」とします。あわせて、キャッシュバックによって市の住宅用地の販売促進を図る「駒ヶ根市移住・定住マイホーム応援キャンペーン」も進めます。空き家の片づけ補助制度の推進や、空き家バンク制度の利用促進にも取り組み、子育て世代の住まいづくりのサポートを強力に進めていきます。

さらに、信州駒ヶ根暮らし推進協議会や、駒ヶ根暮らしを始めているみなさまと連携し、移住相談や駒ヶ根を体験するイベント、お試し滞在事業などの充実を図り、このまちでの暮らしの良さを積極的にPRしてまいります。コロナ禍によって都市から地方への回帰が高まっている時期をとらえ、こうした施策を進めることで都市圏等からの人の流れを呼び込み、子育て世代に加えて、関係人口や二地域居住等の増加もめざしていきたいと考えております。

妊娠・出産・子育て中の母子の健康を守るため、妊婦健診などの公費助成を引き続き実施します。出産後の家事、育児を支援する養育支援訪問事業(ハッピーママサポート事業)を、妊娠期から利用できるよう拡充するなど、出産に伴う心身の負担軽減を図ってまいります。

幼児教育では、さまざまな体験活動によって、子どもの主体性、創造性、社会性、協調性等を身につけることができるよう、豊かな自然環境や多様な地域資源を積極的に活用した自然保育を推進してまいります。増加する未満児保育需要に対応するため、保育人材確保に努めるとともに、民間の医療機関と連携し、病児・病後児保育や一時預かりを引き続き実施し、仕事と子育ての両立支援を図ってまいります。

近隣の市町村と比べて抜群の成婚率を挙げております、結婚相談所事業もさらに充実を図り、「幸せパートナ-マッチング事業」として実施いたします。

2.生涯活躍のまちづくり×中心市街地活性化

次に、二つ目の多様性の時代にふさわしい生涯活躍のまちづくりと、それを柱とした中心市街地活性化について説明します。

「生涯活躍のまち構想」を具体化するため、令和2年度に「生涯活躍のまち事業計画」を策定いたしました。この計画に基づき、「ごちゃまぜの拠点づくり」や「学びと交流の場づくり」を、市や地域再生推進法人である、公益社団法人「青年海外協力協会」(JOCA)などを中心とした「生涯活躍のまち推進協議会」が主体となって取り組んでまいります。

今年夏には、銀座にJOCAが建設します「ゴッチャウェルネス駒ヶ根」がオープンします。訪れた方が汗を流すスポーツクラブであると同時に、障がいのある方が働く場ともなります。障がいの有無を超えて、さまざまな人たちが集う場が市の中心部にできることになります。「ゴッチャウェルネス駒ヶ根」には、保健センターから、こまがね健康ステーション事務局を移転し、より多くの方が気軽に訪れることができるようにします。JOCAや県立看護大学、そのほかの関係機関や団体などとともに、まちなかでの健康づくりを進めてまいります。

隣接する市民活動支援センター「ぱとな」では、さまざまな団体とつながり、協働のまちづくりを進めてきています。JOCAによる、これまでにない新たなタイプの施設ができることを契機として、さらに「生涯活躍のまちづくり」と連携を強め、性別や年齢、障がいの有無、国籍を超えて、多様な人たちが交流し、活動していくことができる仕組みづくりに取り組んでまいります。

中心市街地では、官民が連携して進めている「こまがねテラス」も、コロナ後を見据えた取り組みを進めています。今後、策定を目指す「市街地総合再生基本計画」の前段として、必要とされる機能や施設など中心市街地におけるまちづくりの絵を描き、市民のみなさまと対話をしながら進めてまいります。空き店舗活用による創業の支援にも、引き続き取り組みます。融資制度資金による小規模事業者の経営安定化や販路開拓などを支援してまいります。事業継続が図られるよう効果的な支援策も検討します。

世界につながる拠点である、独立行政法人「国際協力機構」(JICA)との連携も、多様性と中心市街地活性化をつなぐ大きな鍵となります。学生や企業を対象にした学習、研修ツアーなどをともに企画し、交流人口を広げ、市街地に新たな人の流れを生み出す活動につなげていきたいと考えております。また、アジア版ダボス会議を目指して大使や研究者を招いて、市民のみなさまと意見交換する学びの場づくりの実現にも取り組んで参ります。

また、それぞれの人権を尊重し、老若男女を問わず、社会のあらゆる分野で個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画の実現を目指すため、男女共同参画計画「あなたと私のいきいきプラン パート6」を策定します。

多様性をキーワードに、さまざまな取り組みを広げていくことで、大きな波及効果を生んでいきたいと考えます。

3.高原観光×ICT

三つ目の技術の進展をにらんだ行政などのデジタル化と高原観光のグレードアップについて、説明いたします。

国では、令和3年度中にデジタル庁を設置し、行政分野のICT化を加速させようとしています。また、県は令和2年7月に「長野県DX戦略」を策定し、既存の業務プロセスなどの改変を行い、新たな社会の仕組みづくりを進めていく考えを示しています。

駒ヶ根市も、こうした動きを踏まえまして、国の地方創生人材支援制度を活用して、令和3年度から、民間事業者から「デジタル専門人材」の派遣を受け、駒ヶ根市における行政ITの推進を図るための取り組みを進めます。IT企業から複数の専門家が着任される予定です。この専門家の方たちとともに、庁内にプロジェクトチームを設け、デジタル化の取り組みを加速させていきます。

教育でもICT化を進めてまいります。児童・生徒一人1台端末の本格稼働となる令和3年度は、元年度・2年度に実施した中学全学年普通教室への大型提示装置の設置に続き、小学4年生から6年生の普通教室への設置を進め、ICT教育環境の整備・充実を図ってまいります。

また、ICT支援員を配置し、ICTを活用した授業展開の普及と、ICT環境の有効利活用を通して、教職員の指導力の向上を目指すとともに、児童・生徒が情報社会に主体的に対応するための情報活用能力や学力の向上を図ってまいります。

全小中学校に統合型校務支援システムを導入し、教職員の校務負担を軽減します。子どもたちとふれあう時間や教材研究にかける時間を確保し、さらなる教育の質の向上を目指します。

ICTの技術は、駒ヶ根市の柱であります観光にも生かしていきたいと考えています。

昨年3月、「中央アルプス」が、57番目の国定公園に指定されました。新型コロナウィルスの感染拡大の影響で延期となりました、指定に伴う県主催の記念事業は、本年7月10日に駒ヶ根市で開催される予定です。

また、名実ともに国定公園にふさわしい山岳観光地となるよう、自然環境の保全や登山者等の安全を確保するため、日本百名山である木曽駒ヶ岳と、空木岳を結ぶ縦走路のほぼ中間に位置する檜尾避難小屋を、国・県の補助金等を活用し、新年度に改修工事を実施いたします。

平成30年度には、中央アルプスで50年振りにライチョウが発見されました。これをきっかけに、環境省によるライチョウ復活活動が行われており、この夏には、中央アルプス生まれのライチョウが誕生することが期待されています。こうしたライチョウ保護の取り組みなどについて学習できるイベントとして「第20回ライチョウ会議」を、今年秋、駒ヶ根市と宮田村が協力して開催します。専門家にライチョウの生態などをわかりやすく解説していただき、貴重な鳥へ思いを寄せていただく場としたいと思います。

観光業はコロナ禍で大きな打撃を受けております。こうした事業を通じ、下支えを図っていきたいと考えます。さらに、アフターコロナを見据えた取り組みも求められています。駒ヶ根高原につきましては、地元住民や観光事業者等を含めた観光懇談会を設置し、駒ヶ根高原再整備計画グランドデザインを昨年8月に策定しました。新年度は、関係者のみなさまと協力して、DMOや駒ヶ根観光協会など観光を支える組織を見直し、充実・強化を図ります。リニア中央新幹線や三遠南信自動車道の開通も控えています。ICT技術を活用し、すばらしい資源をさらに磨き、より輝く観光地となるよう、魅力づくりを進めていきます。

また、ICT技術は地域公共交通でも活用が重要と考えます。令和2年度に「地域公共交通計画」を改訂しました。多様なニーズが求められている「こまちゃんデマンドタクシー」の運行の利便性の向上を図ることや、新技術を活用した新たな交通システムの導入に向けた検討も進めてまいります。

以上、三つの重点分野につきまして、説明をいたしました。このほかにも、重要な課題があります。順次、説明をいたします。

2 安全・安心のまちづくり

まず「安全・安心のまちづくり」についてであります。近年は、異常気象等によるとされる激甚災害が各地で起きております。地形が急峻で地質が脆弱な当地も、大雨に見舞われ、大規模な土砂災害等が起こる危険性は依然高いと言えます。天竜川上流域において流域治水協議会を立ち上げ、関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」に取り組んでいきます。

今年は、三六災害から60年となります。この節目を契機に災害の実態を再認識し教訓として継承し、災害に強い地域づくりを目指します。

また、土砂災害を防ぎ、住民の生命財産を守るため、引き続き砂防事業を推進します。特に、現在国の直轄で進められている太田切川流木止工(おおたぎりがわりゅうぼくどめこう)、古屋敷沢(ふるやしきざわ)第2砂防堰堤、県で進められている唐沢川、瀬早川(せばやがわ)及び塩田川の砂防事業、中沢大曽倉地区の急傾斜対策事業等について、国県や地域の皆様と連携し、事業促進を図ります。

南海トラフ地震は発生確率が少しずつ高まっております。このような大規模災害に備え、防災・災害対応体制の強化に引続き取り組みます。

「自分の命は自ら守る」の精神のもと、引き続き、避難所における開設運営訓練の実施や住民主導型警戒避難体制の構築など自主防災組織の強化に取り組みます。新年度は、長野県総合防災訓練が駒ヶ根市で行われます。関係機関と市民のみなさまが連携して防災訓練を行い、防災意識の普及・高揚を図り、地域防災力の向上を図る機会としたいと思います。

こうした地域の安全確保に、消防団の役割は大きくなっております。一方で団員の確保が大変難しくなってきています。対策として、道路交通法の改正により消防団車両の運転に必要となる中型自動車等の免許取得などに補助制度を創設します。

暮らしの安全で重要となる消費者行政では、高齢者や若者をはじめ、全ての市民のみなさまが、「架空請求詐欺」などの特殊詐欺の被害に遭わないようにするため、より身近で相談しやすい消費生活センター窓口の充実に努めます。地域や関係機関との連携による見守り活動と、有線放送、メール配信などによる被害防止の啓発も行ってまいります。

3 快適に暮らせるまちづくり

次に、「快適に暮らせるまちづくり」について申し上げます。

市民生活に密着する生活道路につきましては、狭隘(きょうあい)区間の解消や危険箇所の改良、老朽箇所の修繕等に取り組み、子どもや高齢者等すべての利用者が、安全に安心して通行できるよう、安全対策を進めます。

特に、光前寺南線等、通学路の歩道整備や既存歩道の段差解消等を進め、利用者の安全確保を図ります。

舗装については「舗装長寿命化修繕計画」により新春日街道線、広小路小町屋線(JR飯田線沿い)等の幹線道路を中心に、重点的に改修を実施します。

都市計画道路などの市内幹線道路につきましては、令和2年度から改訂を進めてします「道路整備プログラム」に基づき、計画的で効率的な道路整備を推進してまいります。

伊那谷の南北交通軸である国道153号伊駒アルプスロードについては、国の直轄権限代行事業として昨年度事業着手されました。国県や地域のみなさまと連携し、事業進捗に向けて取り組みます。

また、「橋梁長寿命化修繕計画」にもとづく橋梁の予防保全を行い、施設の長寿命化とともに、安全性の確保と維持管理コストの縮減を図ります。令和3年度は点検により修繕が必要と判定された橋梁のうち、6橋の修繕を行います。

適切な管理が行われていない空き家が増加し、防災、衛生、景観など、住民の生活環境に影響を及ぼしています。

一方で、新型コロナウイルス感染拡大を契機とした「地方移住」への関心の高まりもあり、アフターコロナを見据えた空き家の活用も課題となっております。

これらの課題を踏まえ、「第2期駒ヶ根市空家等対策計画」に基づき、空き家の発生を抑え、利活用していくなど、地域や関係機関等と連携して、対策をより一層推進してまいります。

また、令和元年度に認定しました「特定空家」につきましては、空家等対策特別措置法に基づき、改善に向けた手続きを進めてまいります。

都市公園につきましては、安全で安心な憩いの場として市民のみなさまにご利用いただけるよう、「公園施設長寿命化計画」に基づき、計画的な修繕や更新を実施してまいります。令和3年度は、丸塚公園や北の原公園の市民プール跡地の整備に引続き取り組んでまいります。

また、都市公園の魅力向上を図り、施設の整備や更新を持続的に進めるために、民間の資金とアイデアの活用も必要です。令和3年度は、民間事業者の参入の可能性を検討します。

地籍調査事業でありますが、令和3年度は、伊駒アルプスロードの事業化に伴い大田切地区で事業を進めます。

上水道事業では、安全で安心な水を安定的に供給していくために、基幹管路の耐震化と、老朽化した配水管、配水池等の電気・機械設備の更新を計画的に進めてまいります。

また、切石浄水場の安全対策につきましては、令和4年度末までに、老朽化した第1配水池を更新するとともに、異物混入時の復旧時間を確保し、安定供給を行うため、全体の容量を2000立方メートルに増強します。

下水道事業では、駒ヶ根浄化センターと、中割地区浄化センターの機器と施設の長寿命化に取り組みます。

また、処理機能の上限に達している駒ヶ根浄化センターについて、処理能力の増強のため、第5池(だいごち)の基本設計に着手するとともに、接続促進に積極的に取り組み水洗化率向上を目指します。

水道事業、公共下水道事業、農業集落排水事業ともに維持管理が重要な時代となります。施設の計画的な修繕等を行い、適正な維持管理に引き続き努めて参ります。

環境衛生対策では、新たに策定された「第4期駒ヶ根市ごみ減量行動計画」に基づき、資源物の分別徹底、生ごみの減量化や各家庭での堆肥化のほか、「30・10(さんまる・いちまる)運動」などの食品ロス削減に向けた取り組みを推進してまいります。

また、持続可能な循環型社会の実現のため、長野県の「気候非常事態宣言」に示されている「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」を目指し、市民のみなさまや事業者、行政が一丸となって「第3次環境基本計画」に沿った環境負荷軽減への取り組みを進めてまいります。

4 人に優しい福祉のまちづくり

次に、人に優しいまちづくりを目指し、福祉政策について説明いたします。

まずは、地域の医療体制の充実です。地域の医療機関と昭和伊南総合病院の連携をさらに進めてまいります。昭和伊南総合病院につきましては、引き続き伊南地域の中心市として人的・財政的支援をしてまいります。また、医師や介護関係者で構成する「駒ヶ根市在宅医療介護連携推進協議会」を中心に、関係機関の連携体制の充実や重症化予防に取り組みます。

介護につきましては、令和3年度から第8期介護保険事業計画がスタートします。「健やかで支え合いながら暮らし続けられる安心のまちづくり」を基本理念として、介護予防と在宅介護を重視した取り組みを行ってまいります。

医療などの基盤を支える国保財政は、制度改革から4年目を迎え、安定的に運営されています。令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響などにより国保税収が落ち込み、歳入不足が見込まれますが、国民健康保険事業基金を活用するなどして、国民健康保険税は現状のまま据え置くこととします。医療費抑制につながるよう、引き続き各種検診事業や健康づくり事業に取り組みます。

健康づくりでは、第6次総合保健計画が折り返しの4年目に入ります。後半は、駒ヶ根市の健康課題である高血圧対策に重点を置き、関係する部署の事業と保健事業を組み合わせて全庁的な連携事業を進めて、これまで健康にあまり関心のなかった層にもアプローチを展開してまいります。

また、経済産業省が事業所の健康経営推進の視点から認定を進めている「健康経営優良法人」制度について、まず、市が職員の健康づくりに取り組み、優良法人認定を目指します。市内の事業所における健康づくり推進のリード役となりたいと考えております。

さらに「駒ヶ根市障がい者基本計画」に基づき、市民・事業所・行政が「助け合い」「支え合い」「連携」することで、安心して自立した地域生活を送ることができるよう、生活支援と社会参加を推進してまいります。

生活に困窮する方への支援では、生活就労支援センター「まいさぽ駒ヶ根」を総合相談窓口として、就労、学習、家計の支援等について、関係部署の連携を密にし、きめ細やかな対応を進めてまいります。

5 産業の振興

次に産業振興への取り組みについて説明いたします。

まず、農業であります。従事者の高齢化や後継者の不足、遊休農地化などの課題を抱える一方、駒ヶ根市の主要農産物の一つである水稲は、米価の下落を防ぐためにも、引き続き需要に見合った適正生産が求められています。

こうした状況のなかで、駒ヶ根市営農センター等を中核として、高収益が見込める振興作物の掘り起こしを始め、スマート農業の推進による経営の効率化等、時代の変化に対応した長期的かつ総合的な農業・農村の振興を図ってまいります。

6次産業化につきましては、関連企業や包括的連携協定を締結している信州大学等の関係機関とも連携し、黒ごま、地ビールやウイスキーの原料となる二条大麦、駒ヶ根産そば、駒ヶ根あんぽ柿等のさらなる栽培拡大と販路拡大、新たな商品開発に向けて取り組んでまいります。

また、シルクミュージアム等の農村公園施設を中心に地域の活性化を図るため、世界遺産「富岡製糸場」など製糸・養蚕に関係の深い団体で構成する「絹のみち広域連携プロジェクト」との連携を進めていきます。「糸平プロジェクト」では、近隣自治体や関係団体と連携し、養蚕・製糸を通して駒ヶ根市出身の田中平八の生涯を学ぶ機会を、シルクミュージアムの機能と結びつけ、地域振興につながるよう取り組んでまいります。

林業振興では、景観保全や災害防止のため多様な機能を有する森林資源の、持続的な保全と活用を進めます。森林環境譲与税を活用した事業や、松くい虫防除対策事業に継続して取り組むとともに、ニホンジカや二ホンザル等による農作物被害を防ぐための有害鳥獣対策事業も推進してまいります。

さらに、竜東地域の新宮川岸(しんがし)地域で、リニア新幹線工事にともなう発生土を利用して、新たな拠点づくりに取り組みます。圃場整備とあわせて、農林業の6次産業化などの施設整備を目指して、地元のみなさまとともに具体的な計画づくりを進めていきたいと考えております。

ものづくり産業では、さらなる振興を図り、活力ある産業基盤構築を目的に、企業誘致の推進や、設備投資要望への迅速な対応や支援に取り組みます。引き続き販路拡大や新技術・新製品開発への支援を行い、地域の稼ぐ力の強化を目指すとともに、「駒ヶ根テレワークオフィス」などを中心に、多様な仕事や働き方の充実も図ってまいります。さらに、現在進めている福岡地区の企業立地を早期に実現し、ほかの企業誘致にも引き続き、積極的に取り組んで参ります。

新型コロナウィルス感染症の拡大は、飲食店や旅館・ホテルなど幅広い業種に暗い影を落としてします。これまで、さまざまな支援策を講じてまいりましたが、新年度も下支えに全力を挙げます。

6 文化にあふれたまちづくり

次に、文化にあふれた、まちづくりについて申し上げます。

駒ヶ根市の優れた文化、歴史、伝統そして人材を掘り起こしながら、特色あるまちづくりを進めていくためには、地域住民の拠りどころとなる社会教育施設の役割は重要であります。

令和2年度に移転新築した地域交流センター(赤穂公民館)と文化センターを、「文化芸術・生涯学習・社会教育」の拠点施設として位置づけ、中沢・東伊那公民館、図書館・博物館などとも連携し、活性化を図ります。

なお、旧赤穂公民館については、新年度に解体工事を行います。

文化財につきましては、建物などの有形文化財だけでなく、祭りや伝統芸能などの無形文化遺産の指定も含め、保存と活用についての検討を進めてまいります。

また、文化芸術に触れ、伝統を継承していく人づくりのため、ジュニア駒展、ジュニア和楽器隊、エル・システマなど、次世代を担う子どもたちの健全育成に引き続き取り組んでまいります。

令和2年度は「信州駒ヶ根ハーフマラソン」をリモートで開催しました。3年度については新型コロナウイルスの感染終息を願いつつ、安全・安心な大会運営と地域の活性化に寄与できるよう、市内関係団体や市民のみなさまとともに、より充実した大会となるよう検討してまいります。

また、令和10年に長野県で開催される第82回国民スポーツ大会に向けて、引き続き、県をはじめ、関係者や関係団体等と協議しながら、市の対応について検討を進めてまいります。

7 行政経営効率化・財政健全化の推進

最後に、「行政経営効率化・財政健全化の推進」について申し上げます。

就任以来、財政健全化は大きな課題だと申し上げてきました。県内のほかの市と比べましても、大変、厳しい状況であります。一方で、新型コロナウィルスによる経済低迷で税収の減少が見込まれます。しかし、地域経済を下支えし、コロナ後をにらんだ、まちづくりの取り組みも進めなくてはなりません。こうしたバランスを考慮し、今回の予算を編成してまいりました。

財政再建につきましては、令和2年度に策定しました公共施設総合管理計画の「個別施設計画」に基づいて施設の統廃合や長寿命化を計画的に進め、今後の10年間で、市内の全公共施設のうち10%相当量を削減するための取り組みみに着手します。具体的な数字を掲げたことは、駒ヶ根市としては初めてです。厳しい財政状況について認識を共有しながら、個別の施設の統廃合につきまして十分に説明して、丁寧に進めていきたいと考えます。

また、行財政の健全化につきましては、3月をめどに財政健全化プランをお示ししたいと申し上げてきました。しかし、先に申し上げました通り、コロナ禍のため、税収の大幅な落ち込みが想定され、地域経済や市民のみなさまの暮らしにも影響が広がるなど、取り巻く環境は大きく変わっています。さらに、先行きが不透明な情勢であることから、事業見直しにあたっては慎重な判断が求められています。このため、財政健全化プランは新年度中に策定することとしたいと考えます。前倒しして策定する第5次総合計画との整合性もとりながら、検討を進めていきますので、ご理解くださいますよう、お願いいたします。

令和2年度のふるさと寄附は5億円を超え、駒ヶ根市にとって最高額となりました。令和3年度も財源確保を図るため、これまで申し上げてきた、さまざまな施策を進め、駒ヶ根市の魅力や取り組みを発信していきます。

むすびに

以上、施策の一端を申し上げました。

大変厳しい財政事情の中で、限られた財源と資産を最大限活用し、市民の福祉向上を図るための施策を効果的に推進していきます。職員が一丸となって、効率的な行財政運営の追求や積極的な歳入確保などに努め、人口減少を克服して将来にわたって持続可能な自治体運営に取り組みます。

私は、駒ヶ根市の発展と市民の安全・安心の確保のため、その先頭に立ち市政運営にまい進する覚悟です。

議員のみなさまおかれましては、一層のご理解とご協力を賜りますとともに、市民のみなさまの積極的な市政への参画とご支援、ご協力をお願い申し上げ、令和3年度の施政方針とさせていただきます。

令和3年度 市長施政方針(全文)


 

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更新日:2021年02月24日