母子保健プロジェクト(医療機器と救急車の寄贈、病院建設)

「母子保健プロジェクト」とは

 「ネパール交流市民の会」がポカラ市と共同で進めている、ポカラ市の課題の一つである高い妊産婦・乳幼児死亡率を改善するための活動。

経緯

経緯の詳細
内容
    高い妊産婦・乳幼児死亡率はポカラ市の課題
平成13年 4月 ポカラ市はこの課題に対して母子保健病院の建設支援を駒ヶ根市に要請
平成19年 7月 ポカラ市は「母子保健病院地元建設委員会(委員長:市長代行)」を包括する地域の政治的代表者で構成される「ポカラ・駒ヶ根友好都市関係調整委員会」を結成し、駒ヶ根市からの支援の受け入れ態勢を築く
  10月 駒ヶ根市が、今後の交流(協力)は市民中心で行う方向性を示したことを受け、ネパール交流市民の会はポカラ市と共同で「母子保健プロジェクト」の実施、この第一弾として救急車と医療機器を寄贈することを決定
平成20年 6月 ネパール交流市民の会は、この寄贈の原資となる寄付金の募集を開始
    ポカラ市は、「市民中心」という駒ヶ根市の要望に基づき、友好関係強化のための市民組織「ポカラ・駒ヶ根協力委員会(設立者:市長代行)」を設置
  11月 ネパール交流市民の会がポカラ市に救急車と医療機器を寄贈(「母子保健プロジェクト」第一弾)
平成22年 11月 寄贈した救急車及び医療機器の活用状況調査及び今後のプロジェクトについての協議
平成23年 6月 ネパール交流市民の会第13回総会で、ポカラ市が進める「母子友好病院」建設に対して、この病院で必要な医療機器及び備品の一部を寄贈することを決定(「母子保健プロジェクト」第二弾)
  11月 日本国政府が、ポカラ市の「母子友好病院」建設に対し、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」支援を決定
平成24年 5月 ネパール交流市民の会がこの病院に対して医療機器を寄贈(「母子保健プロジェクト」第二弾)
平成25年 2月 「母子友好病院」竣工

母子友好病院

 母子友好病院は、ポカラ市北部の第16地区に位置します。市の中心部からは、バスを乗り継いで約1時間の場所にあります。

母子友好病院の様子の写真

母子友好病院の様子拡大画像(JPEG:420.3KB)

 病院の建設費用は、日本国大使館の草の根無償資金協力(草の根・人間の安全保障無償資金協力)のほか、ポカラ市とポカラ市民が負担し、医療機器をネパール交流市民の会が寄贈しました。

 常勤の婦人科医と小児科医のほか、助産師や看護師など29名のスタッフが働いています。(平成27年3月現在)

「母子保健プロジェクト」第一弾活動「救急車・医療機器の寄贈」

寄贈した救急車・医療機器(平成20年11月)

(注意)全て現地(ネパール)でメンテナンス可能な物品を現地調達

寄贈した救急車・医療機器の詳細
No. 品名 仕様
1 救急車 TATA製(インド) ジープ型
2 超音波診断機 東芝製 ポータブル型
3 体重計 日本製 デジタル
4 血圧計(一般用) 日本製 デジタル
5 血圧計(小児用) 日本製 デジタル
6 電子心電図計 SUZUKEN製(日本)
寄贈した救急車と医療機器の写真

寄贈した救急車と医療機器拡大画像(JPEG:85.8KB)

「母子保健プロジェクト」第二弾活動「医療機器の寄贈」

寄贈した医療機器(平成24年5月)

(注意)全て現地(ネパール)でメンテナンス可能な物品を現地調達

X線撮影装置、X線撮影装置用発電機、酸素吸入器付き麻酔装置、AED、手術用心臓モニター、新生児用保温器、手術用ライト、電気手術装置、手術台、妊婦・乳児用ベッド、光線治療器、吸引器、機器保管用台車、妊婦移動用ストレッチャー、分娩台、等計57点

寄贈機器の活用

機器の活用方法

  • 医療機器を搭載した救急車は、当初ポカラ市の医療関係者(ポカラ市役所医療関係者、ポカラ市役所配属JICAボランティア(保健師))とともに、ポカラ市の全18区に設置された市営の母子保健診療所の巡回診療に活用
  • 現在は、ポカラ・駒ヶ根母子友好地域病院の管理下で急病人の搬送等に活用されている
  • 機器の取扱や活用指導はナラヤン医師(平成13年駒ヶ根市で研修)が行う
  • 活用状況は、ナラヤン医師・JICAボランティアから報告される

機器の活用状況

寄贈機器を利用しながら活動をされている、ポカラ市役所配属JICAボランティアの高橋久美隊員(保健師)から次のような情報提供をいただきました。
なお、高橋隊員は平成22年6月22日に無事2年間の活動を終え、帰国いたしました。

平成22年6月29日の情報

 私の活動も6月で最後です。嬉しいことに最後の月には、今までで最も多くの妊婦さんが母子保健診療所を訪れてくれました。帰国を前に、超音波診断機(エコー)の仕事もスタッフのシタさんに受け継ぎました(右写真)。

 クリニックは順調なようですが、訪れる人が増えているのに対し、スタッフが長期休暇をとっていたりするなどの理由で少ない人数で対応しているのが現状です。しかしながら、受診者が増えているのは市民が必要としているからだと考えます。残されたスタッフが大変な思いをしていたのではクリニックの継続は難しい。保健医療の大切さをもっとポカラ市役所に認識して欲しく、最後にこれを提案して帰ろうと思っています。いろいろと心残りもあり帰国は寂しいですが、スタッフを信じて…

 ポカラを去る3日前、やっと母子保健診療所のポスターも完成ポカラ市の女性ボランティアやスタッフの手によって市内にポスターの貼付が行われました。これには、駒ヶ根市から頂いた救急車をもっと活用できるよう救急車の番号が載せてあります。今までは、救急車専用の番号がなく夜間活用ができていなかったのですが、やっと番号を手に入れました。これで、市民皆に平等に活用してもらえると思います。

ポカラ市「母子保健診療所」のポスター

ポカラ市「母子保健診療所」のポスター拡大画像(JPEG:275.3KB)

<参考>ポカラ市母子保健診療所・妊婦健診受診者数の推移(平成22年)
  4〜5月 5〜6月
診療所稼働日 15日 21日
初回受診者数 41人 76人
継続受診者数 36人 73人
合計受診者数 77人 149人

(注意)ネパールではヴィクラム歴が使われているため、月は各月の中旬で変わる。

平成22年5月1日の情報
妊婦さんからみえるネパールの状況

 母子保健診療所の妊婦健診に来る受診者の約25%が20歳未満の女性です。中学校レベルの学校を卒業している子もいれば、途中で辞めてしまっている子もいます。ポカラ市でも16歳くらいの妊婦さんは珍しくありません。また、診療所に訪れる妊婦さんやその夫の職業をきくと、大半は日雇い労働等(一日300円位の賃金)の仕事をしている人です。
 母子保健診療所には血液や尿等の検査機関はありません。超音波エコーでの健診も行っていますが、あくまでも検査のみです。異常のあった場合や血液検査のためには、ポカラ市内のガンダキ病院(公立病院)に行くことをすすめますが、そこへ行くのも金銭的に難しい人がいます。
 最近では、ポカラ市の中心部のバザールエリアの診療所に、口コミからか、インドからの労働者の妻がたくさん受診に来られます。
妊婦さんひとりひとりに関わることでネパールの状況が何となく見えてきました。

<参考>ポカラ市母子保健診療所・妊婦健診受診者数の推移(平成22年)
  1〜2月 2〜3月 3〜4月
診療所稼働日 10日 20日 20日
初回受診者数 40人 37人 49人
継続受診者数 34人 45人 61人
合計受診者数 74人 82人 110人

(注意)ネパールではヴィクラム歴が使われているため、月は各月の中旬で変わる。

平成21年12月25日の情報

 市民の口コミで徐々に受診者数が増えているのは事実です。(中にはエコーだけを受けるために来る方もいますが。)また、妊娠後期に初めて妊婦健診を受けに来る妊婦さんもいます。こういう現実をみていて、地域での健診はやりがいがあります。「病院までは行くのは・・・」と思う方でも、「家の近所で、お金もほとんどかからないなら、行ってみよう」と気軽に来てもらえる。来てさえもらえれば、少しでも自分の身体や赤ちゃんについて考えてもらえる。今後も長く、このサービスがポカラで続いていくことを願います。
 現在、母子保健診療所のポスター作成準備中。ポスターを貼ることで、どのような変化があるのか。今後が楽しみです。

<参考>ポカラ市母子保健診療所・妊婦健診受診者数の推移(平成21年)
  8〜9月 9〜10月 10〜11月 11〜12月
診療所稼働日 13日 10日 13日 16日
初回受診者数 35人 41人 36人 60人
継続受診者数 36人 39人 41人 52人
合計受診者数 71人 80人 77人 112人
  • (注意1)ネパールではヴィクラム歴が使われているため、月は各月の中旬で変わる。
  • (注意2)本来、母子保健診療所の稼働日は毎月21日間(第16区は除く)であるが、ダサインやティハール等の祝日、バンダ(強制的ゼネスト)、市役所のストライキ等により稼働日が少なくなっている。
  • (注意3)第16区にはヘルスポストがあるため、ヘルスポストのスタッフが妊婦健診を実施。超音波エコー健診のみを母子保健スタッフが行っている。
  • (注意4)9〜10月期から、毎月21ガテ(ヴィクラム歴の21日)のポカラ刑務所訪問をやめ、市内の特定貧困地域を訪問することになった。
平成21年7月2日の情報

 妊婦さんに対し、以前から継続受診の必要性は伝えており、受診者も増えてきましたが、5〜6月より超音波診断機による検査を始めたところ、人が人を呼んだことと、女性ボランティアなどへ呼びかけた結果もあり、今月はポカラ市内全ての診療所を巡回していないのに、受診者数が100人を越えました。超音波診断機による検査を受けることも大切なことですが、健診に来てくれることで妊婦さんにさまざまな情報を与えることができます。母子保健診療所では情報提供も大切にしていきたいと思っています。

<参考>ポカラ市母子保健診療所・妊婦健診受診者数の推移(平成21年)
  12〜1月 1〜2月 2〜3月 3〜4月 4〜5月 5〜6月 6〜7月
受診者 44人 57人 42人 16人 49人 67人 103人
うち初回受診者 23人 21人 20人 10人 32人 40人 63人

(注意)ネパールではヴィクラム歴が使われているため、月は各月の中旬で変わる。

この記事に関するお問い合わせ先

企画振興課 地域政策係

〒399-4192
長野県駒ヶ根市赤須町20番1号
電話 0265-83-2111(代表) 内線242
ファックス 0265-83-4348
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2021年03月09日